創業期において、売上・利益を上げることは大きな目標でありますが、一方で、想定より多くの利益があがってしまうと、税務負担の点で悩ましい決算を迎えることになります。

この時、行政系の保険制度を使うことで税務負担を下げ、将来の経営リスクに備えることが行えます。創業期でも取り組みやすい保険制度についてご案内します。

 

 

1.小規模企業共済

内容:「経営者の退職金」制度です。退職時に受け取れる保険で、経営者個人が毎年の費用として積み立てるものです。

 

メリット:

1)経営者の所得税の節税(報酬より退職金の方が税率が安い)

2)積立額の借入が可能なので有事の際のセーフティネット

3)金利は1% or 1.5%と普通預金より高い

 

デメリット:

1)老齢、退職時まで現金の支出は増える

2)自己都合での解約は20年以上経たないと金利が付かない

 

特徴

1)掛け金は、月額変更することが可能で、月額1,000円~7万円(年額1.2万円~84万円)

2)窓口:中小企業基盤整備機構

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/index.html

 

2.経営セーフティ共済   (倒産防止共済)

 

取引先の倒産という有事の際のセーフティネットとなる保険です。

任意の時期に解約しても40カ月以上納めていれば解約負担金は無いため節税効果も高い性格を持っています。

 

メリット:

1)法人の法人税の節税(法人として保険に加入)。1年分前納できる。

2)取引先倒産時は掛け金の10倍まで借入が可能なので有事の際のセーフティネット

3)倒産していない場合でも掛け金総額の95%まで借入可能

4)40カ月以上納めれば無料で保険に入ったことになる

 

デメリット:

1)短期間で解約すると費用負担がある

・12か月以内に解約すると返金無し

・40カ月以内に解約すると20%分は返金を受けられない

2)金利は無いため、収入が増えるものではない

 

特徴

1)掛け金は、変更可能:月額5,000円~40万円(総額800万円まで)

2)窓口:中小企業基盤整備機構

https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/index.html

 

3.中小企業退職金共済(中退共)

 

中小企業勤務者の退職金制度。自社で退職金制度を運用できない中小企業でも手続き等を共済側が対応してくれるため、手続き負担が小さい。

 

メリット

1)国の助成が一部ある

新規加入および増額時に1年間掛け金の1/2~1/3を助成

2)法人の費用として認められる

給与より退職金の方が税率が安いため、将来的に従業員の手取りが増える

3)提携サービスの割引制度有(福利厚生)

http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/service/dayori.html

 

デメリット

1)掛金の減額手続きが煩雑

全加入者の個別同意が必要(取れない場合は厚生労働大臣の認定)

2)全従業員を加入させる必要

パート・アルバイト等契約形態に関わらず加入義務

3)加入期間が短いと受取ができないまたは少なくなる

1年以内は受取不可。2年以内は~1/3

4)金利はほぼ付かない

 

特徴

1)掛け金は5,000円~3万円(パートタイマーは2,000円~)

2)窓口:中小企業退職金共済本部

http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/